「自分と同じ苦労をしなくていい人を見るとキレる人」が部内暴力を生む

この記事をシェアする

先日流れてきた「北照高校野球部活動停止」というニュース、ひどい内容でしたね。

どうしん電子版は北海道新聞のニュースサイトです。北海道内の最新ニュースのほか、北海道外の話題や出来事をまとめてお届けします。

部内暴力や校則違反などが立て続けに起こったため、一旦活動を停止するという話です。

この「活動無期限停止」とは「この先ずっと活動しない」という意味ではなく、「活動をしない期間を決めない」という意味です。極端な話、1週間後に活動を再開することもできます。つまり、北照高校は「活動を再開する気満々」ということになります。

何故不祥事は無くならないのか

7月には佐賀の龍谷高校が喫煙事件を起こし、大会の出場を辞退するという出来事がありました。

定期的に日本学生野球協会が不祥事を起こした学校に対し処分を下していますが、この不祥事が一向になくなる気配がありません。なくならない理由はいくつもあると思いますが、まずはこの「不祥事」を整理してみましょう。

①校則違反

今回の北照高校のニュースに書かれていた「カンニング」や「(校則で禁止されている)運転免許の取得」がこれにあたります。

高校の校則には理不尽なもの、意味不明なものが無くもないですが、守らないことで得することなど一つもありません。この程度のことが守れずに甲子園を目指すなどちゃんちゃらおかしいです。

②法律違反

「喫煙」「万引き」がこれにあたります。北照のニュースに「校名入りグッズの無断販売」がありましたが、これは商標法または不正競争防止法違反にあたりますのでここに分類されます。

これを「好奇心」などといった軽い言葉で片づけてはなりませんし、これも守らないことで得することなど一つもありません。罰則のない法律の場合は、学校側で厳しく処分すべきでしょう。

③部内暴力

部内暴力は大きく以下の2つに分けられます。

1.監督やコーチ、部長から部員への暴力

2.先輩から後輩など部員同士の暴力

上の①校則違反、②法律違反は、個人の意思で「やらない」ことを選択できますが、この「部内暴力」だけは少し違います。

ここからは、「部内暴力」に絞ってお話ししたいと思います。

「部内暴力」を無くすためにやらなければならないこと

学校の野球部で、ある代から突然「部内暴力」が始まった、などといったケースは限りなく少ないでしょう。

つまり、部内暴力で処分されるような学校は、「昔から伝統的に部内暴力が行われている」学校であると考えて良いと思います。

私は、この「部内暴力」の根源は

自分と同じ苦労をしなくていい人を見るとキレる人たちの存在

であると考えています。

自分と同じ苦労をしなくていい人を見るとキレる人たちはそこら中にいます。

  • 業務を改善して短時間で仕事をできるようにしたところ「楽してるんじゃねえ」などと言うクソ上司
  • 子育てに昔の価値観を持ち出して説教してくるバカ姑
  • 毎年やっていることだから、と無駄な会議を改善しようともしないPTAのアホ先輩ママ

みんな「自分も苦労して今の立場になった。お前らも将来大変な思いをしたくなければ同じ苦労をすべきだ」といいつつ、無駄なことを強いてきます。

野球部にもいますよね。

現役のころに厳しい指導に耐えて技術を伸ばし、「高校野球の監督」という、日本で3,000人程度しか就けない職業を勝ちとった監督は、当然自分の過去を肯定するでしょう。「あの厳しい指導があったから今の自分がある」などと何の疑問も持たずに思ってそうです。「(頑張って今の位置に上り詰めた)自分がした苦労は他人にもさせるべき」と考えてもおかしくありません。コーチも部長も父兄からは(表向き)慕われる存在です。何か「特別意識」を持ってもおかしくありません、やはり彼らも自分の過去を肯定するでしょう。

その「自分の過去」の中に暴力を伴う指導があったとしたら、指導する立場となった今、同じ指導、つまり「暴力を伴う指導」をする監督やコーチ、部長が存在すると考えるのが自然です。そうしないと「自分の過去」を否定することになりかねないから。

「自分も苦労して今の立場になった。お前らも将来大変な思いをしたくなければ同じ苦労をすべきだ」そう考えている指導者たちが案外多いような気がしてきました。

家の中にもいませんか?

自分たちが苦労してきたことを“良かれと思って”子供に同じことをさせてる親たちが。

子供のころに、親から「勉強しなさい!」と厳しく言われ続け良い学校、良い会社に入ったお父さん、お母さんたちは、子供たちに今同じことをさせていませんか?

野球部で活躍したお父さんは「部活は理不尽なもの」などと考え、子供にもそう言ってませんか?もしかしたら「(自分が活躍したときと同じ)理不尽な部活」を望んでいたりしませんか?

そんな親に育てられた子供が「自分がした苦労は他人にもさせるべき」という考え方を持つようになる可能性は決して低くありませんよね。

だから「先輩に殴られた→自分が先輩になったら暴力はやめよう」とならずに「先輩に殴られた→自分が先輩になったら同じようにやる」となります。「殴られずに済む下級生」など認められません。

皆、暴力を肯定しているわけではない

さすがに、心の底から暴力を肯定している監督やコーチ、部長、選手はいないと思います。

暴力を肯定しているのではなく「自分と同じ苦労をしなくて済む人間が許せない」だけなんです。

だから昔と同じようにやる。先輩にされたことを後輩にする。

これでは「部内暴力」は無くなりませんよね。

ですから、「部内暴力」を無くすためにまずやることは、全員が

自分と同じ苦労をしなくていい人を見てもキレない

ことです。

自分が育てる、または教える相手に自分と同じ苦労をさせてしまったら、その能力の無さを人間として恥じるべきです。

相手が(自分と同じ)苦労をすることなく自分と同じ結果を出したら、それは喜ぶべきことである、と考えることが「部内暴力を無くす」第一歩なのではないでしょうか。