【高校野球】熱中症による人数不足での没収試合をゼロにするための方策

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暑い日が続く中、各都道府県では高校野球の夏の大会が真っ盛りですが、今年はこのようなニュースを目にする機会が多いような気がします。

9人しか登録のなかった行徳の選手が熱中症となり試合に復帰できなかったため、没収試合となった。千葉県高野連によると、行徳の選手が2回裏の守備で熱中症によるけいれ… - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)
センバツに3度出場した伊都は学校再編のため本年度閉校となる。9人で最後の大会に挑んだが、無念の幕切れとなった。1-8で迎えた5回裏2死。守備についていた伊都の… - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.com)

「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」です。

気温が35度を超える日も少なくなく、このような猛暑の中で試合を行うことの是非も含め、夏の高校野球のあり方を見直す時期に来ているのではないかと思いますが、ここではまず、「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」をゼロにする方策を考えてみたいと思います。

「野球は9人でやるもの」という意識を改める

高校野球ではベンチ入りの選手の人数の上限が決められています。春夏の甲子園大会では18人、地方大会では、各都道府県の高野連が大会ごとに規定を設けています。例えば神奈川県では、春季大会・秋季大会のベンチ入り人数の上限は25人です。

ベンチ入りの人数の「下限」は決められておりませんが、公認野球規則7.04(b)「一方のチームが競技場に9人のプレーヤーを位置させることができなくなるかまたはこれを拒否した場合、その試合はフォーフィッテッドゲームとなって相手チームの勝ちとなる。」を根拠にすれば、最低9人必要ということになります。野球というスポーツが、同時に9人が試合に出場するスポーツである以上、当然の規則です。

しかし、これはあくまで「試合を続行する」ための規則であり、「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」を防ぐという話とは別の話です。

先に挙げた3例は、いずれも登録部員が9人であることにより起こった悲劇です。
まず、ここに問題があると考えます。

前述の通り「野球は9人でやるもの」ですから、最低9人揃っていれば大会には出場できます。しかし、「9人で大会に臨む」ことはすなわち「選手の病気や怪我というリスクを全く考えていない」ということになり、これは学校側の姿勢に問題があると言わざるを得ません。

従って、まずは「野球は9人でやるもの」という意識を改める必要があると考えます。
実際に、プレイをするのは(同時に)9人ですが、それ以外にもベースコーチなどさまざまな役割があります。それらもひとつの「ポジション」であると考えれば、野球をやるには9人ではなく、「12人」「15人」といった人数が必要であると考えるべきであることが分かります。
この考え方を踏まえ、各都道府県の高野連はベンチ入り人数の「下限」を決めるべきですし、その規則に従って、学校側は選手を揃えるべきだと思います。

ベンチに12人なり15人なりの選手が入っていれば、仮に選手が病気や怪我でプレイができなくなっても、直ちに没収試合になることはありません。ベンチ入り人数が9人だから起こる悲劇は、ベンチ入り人数を増やすだけで解決できます。

「連合チームで出場する」という選択肢

2012年に改められた「連合チーム」に関する決まりは、あくまで「部員不足の学校」を救済するもので、対象となるのは部員が8人以下の学校に限られます。

例えば、部員8人の学校があるとしたら、その学校が大会にするために取る選択肢は3つです。

1.学校内で新たに部員を募る
2.同様に部員不足の他校と一緒に連合チームで出場する
3.他校より部員を借り、単独チームで出場する

高校野球は「学校単位」での出場が基本であること、そして(他部の生徒であっても)同じ学校のメンバーで出場したい、という気持ち、そして連合チームで出場することのデメリット(練習時間が短くなる等)を考えると「1」を選ぶ学校が大半ではないかと思います。

ここにも一つ落とし穴があります。

「2」「3」を選べばベンチ入り人数が9人となることはまず無いでしょうが、「1」を選ぶとベンチ入り人数が9人となることが十分に考えられます。
現に、先に挙げた3例のうち、伊都高校はバスケットボール部の部員を1人借りて大会に臨んでいます。
本年度で閉校となる伊都高校が最後の大会に臨むにあたり、なぜ他部の生徒を借りてまで単独チームでの出場を選んだのか、その理由は分かりません。連合チームで出場するという選択肢もあったでしょうし、他に部員不足の学校が無ければ他校から部員を借りる、ということもできたはずです。何より、他部の生徒を借りること自体、安全管理上問題があります。

この問題も、ベンチ入り人数の「下限」を決めれば解決する問題です。
「登録人数9人では大会に出場できない」という決まりにしてしまえば全く問題ありません。

もちろん、学校や選手が「連合チーム」に対して障壁や違和感を持っていることは十分に理解できます。できれば単独チームで出場したいと思うのは当然のことです。

ですがそれにこだわるあまり、3年生の最後の試合が「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」で終わってしまって良いのでしょうか。

どんなに力の差がある相手であっても、どんなに点差をつけられても、最後まで全力で戦い抜きたいと思う気持ちは、「単独チームで出場したい」という気持ちを上回るはずです。
最後まで戦うことすら許されずにグラウンドを去らなければならないのは、選手によって悔しく、辛く、そして悲しいものです。
そして、実際に熱中症などで体調不良となり、(結果的に)没収試合となる原因を作った選手にとっても、その事実は決してその後の人生にプラスになると思えません。

これらを踏まえますと、ベンチ入り9人で試合に臨むことには何のメリットもありません。
いろんな障壁もあるのでしょうが、「連合チーム」で出場するという選択肢をもう少しスムーズに選ぶことができれば、「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」を減らせるはずです。

まとめ

「熱中症により選手の人数が不足したことによる没収試合」は、誰の得にもならない出来事です。
熱中症自体、命にかかわる危険性もありますし、「没収試合」そのものも両校にとってあまり良い思いをするものではありません。

酷暑の中で野球をすること自体の議論もありますが、例えば試合の日程を変えるとしたらそれは非常に時間のかかることだと思います。

しかし、ベンチ入り人数の「下限」を決めるだけならそんなに問題なく進められるのではないでしょうか。

選手の安全管理のためにも、そして高校球児が悲しい思いをしないためにも、「ベンチ入り9人」での大会出場を認めず、ベンチ入り人数の「下限」を規則で決めることを、各都道府県の高野連にお願いしたいと思います。